2010.02.04 The Horrors 渋谷duo Music Exchange

1stではゴテゴテのゴシックファッションに身を包み、ガレージ・パンクを鳴らしていたホラーズ。しかし2ndではガラリと志向を変え、エリクトリックとシューゲイザーが混ざり合ったサイケデリックサウンドを奏で、時にはうっとりとしてしまう浮遊感さえ感じてしまう作品となっている。更にゴシック衣装を脱ぎ捨て、見た目もずいぶん変えたらしい。そんな大変身したホラーズを認めることはできるだろうか。少し不安を抱きながらもライブに向かった。
 あやしげな赤い照明に照らされたステージに2ndの1曲目「Mirror's Image」のイントロが静かに鳴り響き、ひょろりとした5つの黒い影が登場。黒の革ジャンに黒いTシャツ、黒い細身のパンツという相変わらず黒尽くめのところは変わらないが、かなりシンプルな姿に驚愕もした。だが、慣れてくると現在のホラーズには合っているスタイルじゃないかと納得もした。
 以前まで攻撃的なパフォーマンスでオーディエンスを圧倒していたVo.ファリスだが、メンバーの奏でるギターノイズとエレクトリックを全面に押し出したサウンドに、うつむきながらどこか調子外れに歌う姿はジョイ・デヴィジョンのイアン・カーティスを思わせ妙に迫力がある。さらに前髪の奥で目をぎらつかせている様は何かに取り憑かれているようで、現在のホラーズが鳴らしている音「内なる狂気」を表しているかのようだ。後半に進むにつれその狂気は会場を徐々に浸食していき、2ndのメイン曲でもある「Who Can Say」で最高潮に達した。その瞬間ホラーズのカオスティックな異世界へ引き込まれていった人達もたくさんいただろう。
 劇的な変化を遂げたホラーズだが、実は根本的なものは何も変わっていない。「B級ホラー」から「サスペンス・ホラー」へとアプローチが変わったぐらいで、ホラーズは恐怖サウンドを奏で続けているのだから。そんな事に気づいたライブだった。