2015.7.19 渋谷クアトロ〜ジョーカーアイウォンチュー〜(地獄編)MO'SOME TONEBENDER

NEWアルバム「Rise from HELL」こと通称『地獄盤』ツアー「〜ジョーカーアイウォンチュー〜」ファイナルを迎えた渋谷クアトロ。
実は今回のツアー仙台には行ったのだが、ぶっ飛んだテンションのアルバムにしてはなんだか物足りなさを感じてしまったライブだったので、ファイナルもたいした事ないんじゃないかと、なめきっていたのだが……2時間後、それが甘い考えだと気づかされるのだった。

スタートは『モダンラヴァーズ・ボレロ』各地では中盤に挟んでいた曲を宣戦布告のつもりなのかファイナルではどアタマに持ってきた。
硬派でいてハイテンション、そしてアングラなメロディがかなり好みの曲なので、仙台で聞けた時は喜んだのだが、もうイントロがガタガタの崩壊気味で、メンバーも「これで合ってるのか?」と確認し合っているようだったが、今回は3人で頭を突合せてながら、息がぴったり合ったイントロを聞かせてくれる。おかげで襲ってくる轟音が半端ない。スタートダッシュには最高だ!

その後『TOKYO LOST』『ハナタラシ vs ワンダーボーイ』『ダミアン』と失速することもなく3曲を通過。
さすがにバテがきたのか、荒い息を付きながら百々がドラム側へ後ろ向きになり「あ”〜〜〜」と喝のような奇声を上げて『Young Lust』のイントロを弾きだす。
途中Aメロの「来る日も来る日も来る日も来る日も来る日も来る日も」ハイトーンシャウト連呼する箇所で「声が高くて出ないよ!」変なアドリブを言ってたように聞こえたが、空耳アワーだったとすることにした。

曲終了後、一旦ブレイク。

猛烈スタートダッシュに感化されたのか、フロアからはいつもよりメンバーを呼ぶ声やヤジが多くヒートアップ度はMAX。
そんな客に向かって百々、
「みなさん大いに鬱憤が溜まっているようで・・・発散すればいい。人殺し以外で」
下を向いてチューニングしながらボソッと呟くようにMC。
そのクールなお姿にゾクリと戦慄を感じ、緊張感漂う空間になぜか遠くから
「オンナジコトバッカリイウナ、オンナジコトバッカリイウナ…」
と武井の低音ボイス聞こえてくる。もしやこれはあの曲の前兆か!?
予感は当たった。何度もリピートされる不気味な武井低音ボイスに絡みつくように重低音ベースがイントロが鳴り響き『Happy Icecleam』がスタート。
サビに入る最高超に上がる瞬間、なんと後方からダイバーの攻めがっ!
そうモーサムはダイブが発生してもおかしくないライブなのに、なかなかダイバーが現れない。そんな常に抱えてたモヤモヤしたのが吹き飛んだもんだから、ダイバーウェルカムカモーン!的に自分もテンションが上がり首を振り回して暴れ狂った。

『WINDOWPAIN』で一息ついて、また『マッドネス』で上がった後、
ギターをチューニングしながら、突然百々がフロアの真ん中を指差して
「君らみたいなあの頃、思い出して書いた曲・・・・」と呟いた後、
ズーンと重いイントロを引き始めた。百々が歌い始めるまで何か分からなかった程、再生スキップ飛ばし曲『18(eighteen)』だ。
静かなバラード調というのもありツマラナイと思ってあまり聞かなかったが・・・見事に化けた。
Aメロの最後あたりの静かな単音リフの間奏が終わった瞬間、衝撃的な一音が鳴り響き戦慄が走った。
それがきっかけになり演奏がどんどん盛り上がって、音圧パワーもフル全開!さらにリピートされる百々の「クレイジー!」シャウトが迫り来る!!
地獄じゃ阿鼻叫喚地獄じゃと、完全迫力負けして地蔵のように動けなかった。たぶんこの日魂が抜けすぎて一番アホ顔をしていた瞬間かもしれない。

次の最近の聞きなれてた『farewell party』のおかげで現世に戻ったが、
その後に珍しい懐かしい曲『go around my head』を披露。
これがまたサイケデリック過ぎて目が回りそうな世界へ突き落とされたような衝撃を受ける。メンバーもカオスな演奏で、イントロで百々が座り込んでギターをかき鳴らした後、キチガイじみたシャウト調で歌い出し、勇と武井がセンターマイクの周りをぐるぐる回る。
一通り回った後、武井はそのままいつもの定位置に安定したが、勇は変拍子リズムに合わせるように前に行ったり、自分のポジションに戻ったりフラフラと彷徨いながらギターを弾く。
さらに最後の仕上げはギターノイズと変拍子ドラムの轟音が襲い掛かり、
曲が終わった時には見てはいけない地獄を覗いてしまったような恐ろしい後味を覚えた瞬間だった。

モーサムは休息を与えてくれるわけなく、『地獄盤』からのジャンキーソング『ジャムパンちょうだい』『平民貧民大貧民』を畳み掛けるような高速ハイテンションでやりきり(特に『ジャムパンちょうだい』は原曲が分からないほどぐちゃぐちゃ状態だった)
『メタルボーイ』がポップなビートのおかげで少し落ち着いた後、武井オンステージの『FEEVEER』。でも前日の大阪でやり過ぎたのか枯れ枯れのデスボイス。そんなこと関係ない程のテンションMAXのヴォーカル&最高のパフォーマンスを見せつけてくれた。

最後の方で次の曲のためにベースを抱えようとした武井の元に百々が近寄り
何やら耳打ちしたあといきなり
「アーユーロックンロ〜ゥ!アーユーロックンロ〜ゥ!アーユーロックンロ〜ゥ!アーユーロックンロ〜ゥ!アーユーロックンロ〜ゥ!」
エルビス風に5回吠えたかと思いきや、百々が乗っかるように「アーユーロックンロー!!!!!」叫び『You Are Rock'n'Roll』のギターイントロが!

なんだこの変な掛け合い!?

と、心の中で突っ込みを入れながらも、ダイバー飛び交うテンションMAXなフロアにそんなの関係ねぇ的に自我を忘れて暴れ狂う。
百々もテンションMAXになってくると、いつも出てくる変なくねりパフォーマンスを通り越して、ギターを抱えて両足揃えてジャンプという新技を見せつけ、そのテンションのまま『ロッキンルーラ』へ突入。いつもだったらクールな見せ場となるギターソロでは、口をおっぴろげて変顔パフォーマンスをする始末。一方、勇はいつの間にかギターをショルキーに持ち替えクールに演奏。で、武井は・・・なんかベースの音が聞こえないぞ!
その百々のギターソロを過ぎたあたりだろうか、低音が物足りないなと思って武井を見たらアンプやらをいじっている。その後ベースを抱えて袖に引っ込んでいく姿がみえた。

すぐ戻ってくると思いきやそのまま『TIGER』イントロであるサイレンが鳴り響くが帰ってくる気配はない。異変気づいた百々も「武井がおらん!」とマイクを通して呟くが、まだ帰ってこない。
結局そのまま2〜3分延々と強烈なサイレンの音を聞かされ焦らされた感もあり、武井帰還後もテンションが冷める事なくむしろより熱くなって『TIGER』が終了。


そして本編のトリは爆音と壮大なカオスにまみれた『Bad Summer Day Blues』武井の咆哮のようなコーラスとイサム&百々が放つノイズ&轟音が一気に襲いかかる!!!だがこの曲は混沌したカオスだけでなく、炸裂したメロディの先にある開放された雰囲気が爽快でどこかへぶっ飛んでゆく錯覚さえ感じる。どこか遥か遠く・・・次のアルバム「Ride into HEAVEN」通称『天国盤』への引導を渡すかのようなエンディングでもあった。

しかし、そんなキレイな終わり方をしないのがモーサムだ。

【アンコールタイム】

「次は変わった地獄を見せてやる!」
モーサムのベーシストでもあり最強のパフォーマーでもある武井が
HELLキャップにド派手なヒョウ柄ジャケット登場。
これからワンマンツアーしか見れない武井ソロパフォーマンスにワクワクしながら待機。地獄版のハードな雰囲気を覆し、天国版の予告をも匂わすPOPな打ち込みダインシングソング『イミテイションシティ』この曲の聴きどころは武井のキザだけどステキな声のヴォーカルでもある。
武井の独特な告知MCが終わったあと、横向きになって上半身を折り曲げ、マイクを持った右手を頭上に高々と上げ、氷室京介ばりの決めポーズで待機する武井。そして軽快なイントロが流れ歌い出すと・・・

なんだこのデスボイズ!

『FEEVEER』では目立たなかったが、まったく高音が出ない地獄のデスボイス状態。それにひるまず武井は吉川晃司のようなハイキックをキメて華麗にダンシング。最後は歌舞伎役者みたいに銀色テープを客に向けて発射。恐るべし武井地獄だ。
曲終了後、ふらっとメンバー登場。
「タケイおつかれー」と軽い挨拶をして登場した、百々は上半身は裸という気合いのお姿。次回の天国盤に入る『nuts』をお披露目から『未来は今』へ。どちらもポップで明るいメロディがターニングポイントのようで『天国盤』へと繋がる終わり方のようにも思えた

ただ、興奮したモーサムファンはこんなハッピーエンドな終わり方なんか納得しない。フロアの電灯が付いても汗だくになりながらもアンコール叫ぶ客に答えるようにメンバーは登場し、
「千秋楽で余力残しちゃダメだよね」と百々が言った後、
爆音で容赦しない『凡人のロックンロール』がなり響く。
モーサムも客も暴れ狂い再び地獄へ。

これで終わりかと思ったら「アタマの中のぉ〜」と百々が
おかわりもう一杯的に『DUM DUM PARTY』のイントロをかき鳴らし歌いだす。
突然の不意打ちに武井「マジかよ!」の表情を浮かべ、置こうとしていたベースを慌ててスタンバイ。勇&水野は冷静にスタンバイ。そして百々イントロが終わった途端、また容赦なく襲いくる轟音!!!
・・・・気づいたら曲が終わり、いつまでも百々が耳奥の三半規管を突き刺すような尖がったノイズを掻き鳴らしていた。そしてギターを下に置き帰るかと思いきや客に向かってダイブ!最後に客にもみくちゃにされる百々を残し、勇が淡々と百々ギターアンプの電源を切って立ち去っていった。
こうしてモーサムの地獄は終了した。

<セットリスト>

モダンラヴァーズ・ボレロ
TOKYO LOST
ハナタラシvsワンダーボーイ
ダミアン
Young Lust
Happy Icecleam
WINDOWPAIN
マッドネス
18
farewell party
go around my head
ジャムパンちょうだい
平民貧民大貧民
メタルボーイ
FEEVEER
You Are Rock'n'Roll
ヒューマンビーイング
ロッキンルーラ
TIGER
Bad Summer Day Blues

【encore1】
イミテイションシティ
nuts
未来は今

【encore2】
凡人のロックンロール
DUM DUM PARTY