2013.09.28 モーサムライブレポ [DIE!DIE!DIE! 来日記念編]

今回の対バンはかなり強烈である。

モーサムともかなり親交があり、フロントマンの天ジョーの場外乱闘パフォーマンスが話題の近未来移動系シティパンクロック集団と言われている撃鉄。
海外からやってきた強者DIE!DIE!DIE!は、ニュージーランド最強の爆音ノイズ・ポップやらポスト・パンクやら何やら言われ破天荒野郎の匂いがするバンドだ。

そんな輩に挟まれたモーサムのライブはどうだったかというと…最高だった。
その時の様子をお伝えしたい。


まずスタートではSEが鳴り響く中、水野、イサム、百々の3人が登場。
3人?
武井の姿がない。
またいつものプロレス入場かと思って後ろを振り返ったが気配はない。
真ん中のスタンドマイクのポジションは空いたまま「To Hell With Poverty!」のイントロが鳴り響く。すると、

Oh〜!Ahaaaaa〜!

雄叫びを上げて武井が登場!
しかしのその姿を一目見て、

Je Je Je Jeeee〜!

思わずあまちゃんの「じぇ!」も「Je!」へ変換したくなる程の驚愕!
どうなったらそうなるんだ!ツッコミを入れたくなるほど強烈な服装をしていたのだ。
先ほどの撃鉄ライブで天ジョーがあまちゃんコスプレで着ていた絣半てんを着(しかも体が大きいのでパツパツ)、頭には手ぬぐい、顔にはキラキラ光る昆虫の目のような大きな青いサングラスを掛けていた。

「To Hell With Poverty!」のばきばきのハードサウンドに異物感満載の武井コスプレ。
いやいや百々のクールなギタープレイを集中して見たいのだか、笑いがこみ上げてきて仕方ない。
しかも曲の最後の方では激しいギタープレイで暴れまわる百々の隣で、超高速でコスプレ衣装を脱衣し、ベースをセッティングしてる武井の姿がコミカル過ぎて笑いが止まらない。

なんだこのカオス空間!もう耐えられん!

と、初っ端から強烈なモノをくらわせてくれた後は、
ハードなハイテンションナンバーの襲来襲来襲来…

「JUNK」のギターソロで、真ん中前方に飛び出してきたイサムの後を追うように百々も出てきてツインでギターを弾く姿は、毎度見る度にシビレるカッコ良さだ。お決まりのハードナンバー「YOUNG LUST」では、これでもかってほどしつこく轟音イントロに頭を響かされ、
武井はプロレスの勝者のごとく両手をクロスさせメロイックポーズを決める。ダークなノリの「Cat Park」で少し休憩タイム。

そして次。百々がクレイジーなイントロを弾きだした瞬間、テンションがMAXに跳ね上がった。
こ、これは「教祖様はスレンダー」じゃないかっ!

もっとも攻撃的なアルバム『STRUGGLE』の中でもっとも狂った曲でもあり、レコ発ツアーでしかやっていない。
この1、2年ライブに行きだしたモーサムファンの中ではあまちゃんレベルの私にとってはお初ナンバーであり、ずっとライブ聞きたかった曲だったらMAXに跳ね上がるのは仕方ない。
どっかのライブレポで読んでいた通り、百々の呟きが入る箇所では最後の言葉を叩き切るかのごとく水野ドラムが入ってくるタイミングがたまらない。

「Metaluca」で暴れ倒した後は武井MCタイム。

「明日の」
「午後」
「3時に発表があります 。」
「みんなインターネット得意やろっ。検索してみろや」
こんな事を言っていたような。毎回のごとくたどたどしいというか
区切りながら言うから何言ってるかよく分からん武井MC。

だが、最後のひと言ははっきりと分かった。

「じゃあ、その『新しいアルバム』の中からやります」

…と、明日発表するネタをバラしてしまうという盛大なフライングをした後、初お披露目となる新曲2曲を演奏。

1曲目はあまりよく覚えていないが、
2曲目はイサムが器用にワウペダルを操りながらギターを弾きファンクっぽいリズムを刻みサビになるとガラッと変わってあの突き抜ける爽快なメロディーが入ってくるというモーサムの得意技を活かした曲。
ニューアルバムを聞く楽しみが増してくる。

このまま激しいテンションのまま突き進み、サイリウムの出番もなく終わるのかなと思っていた矢先、
唐突に「24 hour fighting people」のイントロが響き渡り、
またもや武井は超高速でベースを外し、サイリウム手袋をセッティング。
オーディエンスも慌ててサイリウムを準備。
武井のサイリウムダンスが始まり、機敏な動きに合わせるように頑張って
サイリウムを降っていると、少し下がって休憩しているイサムを目撃する。
ギターを置いてシーケンサーにも触らず突っ立っているだけ。
暇だったらサイリウム持って武井と一緒に踊れって!と心の中で思ったがお疲れだったら仕方ない。

そのままの流れで新曲の「FEEVEER」に。マイク片手に武井ダンシングは続く。
ダンサブルでポップな曲調のおかげか武井パフォーマンスのおかげか
馴染みの浅い曲でもオーディエンスは異常に盛り上がっていた。
この間までは「巨大祭りウチワ」というアイテムがあったが、そんなものなくても充分だ。
さっきまで休憩中だったイサムも武井に合わせてジャンピングしながら
独特のダンスを披露してライブのテンションを上げていた。


バンドもオーディエンスもテンションMAXのまま「Shining」へ。
キレイなイントロが流れ出しどんどん上がって来た頂点で水野のドラム、百々、イサムのギター、武井のベースの轟音が一斉にぐわっと襲って来た。
ハコ全体を揺さぶるような爆発轟音を久しぶりに味わう。
実は今年に入ってからのライブではこの感覚が来なくて、少々物足りなさを感じていたのだ。爆音を体中に浴びながら幸せに浸る。


そして最後のシメは「BIG-S」。電工掲示板付きの武井専用ヘルメットを頭にフィッティングさせイサムがローディのごとくスイッチを入れると流れましたよ、モーサムからのマインド・メッセージが。

アストロホールへようこそ
 モーサムトーンベンダー演奏なう
ダイダイダイの皆さん
いらっしゃいませ
ゆっくりしてってね。
それではレッツスースースサイド」

暴れまわるフロント3人を無視して必死に読んでみるとたぶんこんな内容。
今回は短いながらも来日アーティストを心遣ういいメッセージだ。

だが、そんな優しい言葉とは裏腹に百々はギターを振り回し、武井はフロアに飛び出し場外乱闘。イサムはシーセンサーで変なサビコーラスを入れながら、ギターも持たずに強烈なダンシングをしてる。
終盤で3人はステージ中央に集まり、膝をついたり寝転がったりして徐々に終息。イサムにいたってはうつぶせに倒れこみ、死んでるんですかい?と思ってしまう程ピクリとも動かない。
そして音が途絶えた後、武井はアンプ乗っけていたアルマジロの置物を肩に担ぎ、イサムは突然むくりと起き出し何事もなかったかのようにステージを去っていったのだった。

この間まではお祭り騒ぎ敵な楽しめる感じだったが、今回の強者対バンだったため攻撃性が強く久しぶりに熱くなれたライブだった。

セットリスト
<2013.09.28 原宿アストロホール
To Hell With Poverty!
JUNK
YOUNG LUST
Cat Park
教祖様はスレンダー
Metaluca
新曲①
新曲②
24 hour fighting people
FEEVEER(新曲)
Shining
BIG-S

ブラッドサースティ・ブッチャーズ吉村さんとの会話

5/27にブラッドサースティ・ブッチャーズのVo.&Gの吉村さんが急性心不全のためお亡くなりました。ライブは2回ほどしか見たことありませんが、貴重なROCK ミュージシャンを一人失ったことは否めません。

いつまでも悲しんでても仕方ないんで、面白いエピソードをここでひとつ。

それは昨年の12月の中ばのこと。モーサムの百々さんがソロでゲスト出演するとのことで、ウミネコサウンズ主催のイベントで渋谷 O-nestへ行った。そしてライブ終了後、下のラウンジで酒を飲みながら一服しつつ、同じくラウンジにいる出演者たちを眺めていると、「おい!ハゲ! ハゲ!」と何やらうるさいオッサンの声が・・・そちらを見てみるとバーカウンターに立ってる坊主のオッサンが百々さんに向かって言ってるようだ。
ん?どっかで見たことある人だなと頭をフル回転させてやっとブッチャーズの吉村さんだと気づくと同時に、昨年のフジロックの屋台でやってたオカマバー『スナックひで子』での女装姿も思い出す。キャンプサイト入口にあった屋台で、吉村さんはロングウィッグにドレス、ハイヒール姿で「ひで子ママ」としてフジロッカーたちをおネエ言葉で接客し、悩み相談なども受けていた。硬派なバンドマンというイメージがあったので、この姿には驚いた。私も話し掛け、記念に美しいヒデ子ママの写真を撮らせて貰った。

話は戻るがそろそろ帰ろうかと友人たちとエレベーターの方へ向かって行ったら、そこには吉村さんの姿が。酔っ払い特有の怪しい目つきで私たちをジロリと一瞥し、無言でエレベータ待ちをしていた。なんかヤバそうな緊張感・・・ビビリながらも一緒に乗り込んだ。
「・・・・なんか出そうだ」
重苦しい無言の中、ボソッと吉村さんが呟いた。
ん?なんだろ?
「とくに後ろの方…」
あ、分かった屁だ!
私と友人たちは同時に気づき、そしてここが逃げ場がない個室だという事にも気づく。
「や、やめて…」
特に吉村さんの真後ろにいた友人は本当に勘弁してくれって感じで言ってた。
だが、このやり取りでその場の空気が和んだ気がしたので、フジロックの「ひで子ママ」話を振ってみたら、なぜかオカマ口調で返答してきた。結局、吉村さんの放屁から免れてエレベーターから無事脱出。さようなら〜とか言って吉村さんとは別れるのかと思っていたら、渋谷駅まで同じ道のりを一緒に帰る事なった。しかも普通だったら10分ぐらいで着くところを30分掛かるハメとなってしまったのだ。ある話題で吉村さんが暴走してしまったんでね。
最初はあたりさわりもなくひさ子ちゃんの話を振ってみた。
「LAMAとかで忙しい感じですか?フジの時とかレコーディングで悩んでるとか話してたじゃないですか?」
「…ああ、そうだな」
なんだか盛り上がらない。どうしたもんかと何気なく
「最近、ブッチャーズってどんな感じなんですか?」とブッチャーズの話題を振ってみたら、
突然ピタッと吉村さんが足を止めて、顔を歪めて睨んできた。
「今ツアー中だよっ!」
「あ、ああ、そうだったんですか…」
ひ〜っ!地雷踏んじゃったか!?こりゃマズイ…とビビっていたが、
とにかく吉村さんは不機嫌そうな顔で呟きながら歩き始めた。
「お前らライブ来い!百々なんて行ってもしゃあないだろ」
「え〜っ、百々さんのライブは行きたいんですけど…」
「ライブ来ない奴は死刑だ!そんで『鼻毛』出てる奴も死刑だ!」
なんでここで『鼻毛』!?
しかもコレで吉村さんはスイッチが入ったらしく『鼻毛』暴走が始まった。

「オレは鼻毛には厳しいんだ!」
「鼻毛出てる奴は死刑だ!」
「オレの学校の校則に鼻毛出てる奴は校則違反だ!」
「高校の正門で鼻毛出ている奴のチェックして、出てる奴のをむしり取ってた!」
「とにかく鼻毛は出ちゃいかん!オレがむしり取ってやる!」
「オレは自分さえ毎日むしり取ってるんだぞ!」
道玄坂の真ん中で、鼻の穴に指を突っ込んで鼻毛むしりを実践しようとしたり、道行く人の邪魔をするように立ち止まったり、フラフラ歩いたりして、『鼻毛!』『鼻毛!』を連発する吉村さんには参ったけどマジに笑えた。本当はもっといろいろ言ってたと思うけど、支離滅裂過ぎて覚えてない。
「アーティストでも鼻毛出てる奴はダメだな!オレが注意してやる!」
「じゃあザゼンの向井さんとかも鼻毛出てそうですか?」
「……」
あれ?無反応?昔一緒にツアー回っていた仲なのに。
イースタンの吉野さんとかどうですか?」
「アイツは出ていそうだな」
最後にこの会話で30分程続いた『鼻毛暴走』は終息したと思う。駅前のスクランブル交差点にも着いていたし。
駅に入り山手線にホーム向かったらこれまた吉村さんも同じ方向だった。
電車に乗り込むとさすがに公衆の面前という認識もあるのか、吉村さんは口数少なく大人しくなり、吉村さんと私たちのに妙な沈黙が流れた。それに耐えられなくなったのか、おむろにもぞもぞと肩掛けの小バックをあさり始め「いいちこ」の小瓶を取り出そうとしたが、友人が「こんなところで飲んじゃダメでしょ」みたいに言って止めていたような気がする。もう完全にただの酔っ払いオヤジである。そのまま静かになった吉村さんとは新宿で別れたが、後日、高田馬場までご一緒していた友人に最後どうなったのか聞いていると、暴走する事もなく吉村さんは「気をつけて帰れよ」といい別れの挨拶を残して帰っていったそうだ。
この一件があってから吉村さんを『鼻毛おじさん』と友人たちと密かに呼んでいたのだった…。

ブッチャーズを知らない人がこの話を読んだら、ただの酔っ払いおやじに絡まれた体験談にしか思えないだろう。でも吉村さんが率いてたブラッドサースティ・ブッチャーズは凄いバンドだった。

忘れられないライブがある。
99年10月にフレーミングリップスの対バンで見た時のこと。
オールナイトのイベントでフレーミングリップス終了後、真夜中2時頃にブッチャーズがやっていた。メインも終わり閑散としたフロアの中、ステージの薄暗い青い照明に照らされた3人の男たちは、黙々と自分たちの音を鳴らしていた。何も喋らず、ときどき曲のタイトルを言うぐらいで。そのストイックで硬派な姿は、前まで見ていたフレーミングリップスの華やかなライブと対象的で、すごくカッコ良く見えた。最後「△」という曲で、フレーミングリップスが演出としてばら撒いた紙吹雪を蹴散らしながら、飛び跳ねてた記憶がある。

やっぱり惜しい人を亡くました。
天国でもギターかき鳴らして歌ってて欲しいものです。

2011.5 THEE GALLON 下北沢DaisyBar

知合いのとか友人のバンドのライブレポとなると、どう書いていいのか迷う所があるし、好きなアーティストでも毒舌が若干入った書き方をしてしまうもんで、避けていたとこもあるんですが、今回の「THEE GALLON Presents "Night Boogie Club Vol,2"」はかなり心に来たいいライブ&イベントだったんでレポを書いてみました。

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2012.8.18サマソニ(吉井和哉)

最近は吉井のキメ写真にも何もトキメキを抱かなくなり、長年の片想いもとうとう冷めてしまったかと…思っていた矢先、サマソニでのスタジアムでライブをやるという。
吉井も客で行ってるフェスに出演するとなれば、そうとう気合いも入っとるだろう。もしそんなスペシャル的なライブを見てもクソつまらなかったら、ファン辞めてやろうかと本気で思っていたのだった。

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2012.1.26MO'SOME TONEBENDER

くそ〜っやられた!完全にやられたっ!

モーサムのライブが終わった直後、思わずこんな事を心の中で叫んでしまった。
1.26下北沢シェルターPIZZA OF DEATH RECORDS所属バンドRAZORS EDGEが主催でやったイベント「THRASH EM ALL!! vol.70」は副題に『新春カオスシティー』と付くだけあって、どのバンドももの凄いライブをやっちゃってくれました。
今回のお目当て、MO'SOME TONEBENDERことモーサムも、もちろん対バン連中に負け時とカオスなライブをやってくれました。それも最初に書いたように「やられた!」と叫んでしまうぐらい。

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JAPAN JAM 2010(ZAZEN BOYS篇)

この日はJAPAN JAMというフェスを見るため早朝から高速バスに乗って、富士スピードウェイを目指していた。ちなみにこのフェスはタイトルとおり、普通のライブもやるけど、ゲストを招いてジャムセッションをやるフェスでもある。お目当てのZAZENと吉井が出演するのなら行くしかない。

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